『劇場版 ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』感想
『ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』を観てきました。公開前にベリアルに続く悪のウルトラマンがどう扱われるのか、ただの良い子とも言えてしまうカツミにどう決着をつけるのか、CGによるウルトラマンはどうなのかといろいろ考えて劇場に足を運びましたが
最高でした。
もうね。全部想像を超えてきたよ。「劇場版Xを超えた!」って感想があって「いやいや劇場版Xを超えるのはそうそうないぜ〜?」って思ってたんですけど
超えたわ。
もちろん僅差でね?僅差。
事の中心となるのは戸井はカツミと高校時代に夢について語ったものの挫折して怠惰な生活を送っている…というまあありがちなお話ではあるんですけど、それをカツミは説得できないんですよね。自身も夢を諦めてるから。
店のために仕方なく…という理由ではあるけども自身で野球の道を断念したのは事実な訳で。良い子であったカツミの痛いところが思いっきり突かれるわけです。責任感を感じて動いていたら自身がなかったなんて皮肉な話だぜ…
そうして「自身が何者でもない」とカツミが悩む所に登場するウルトラマントレギア(手)。
なんて所を狙ってきやがるんだ…
トレギアは手の動きの艶かしさがすごい。親指と人差し指の爪をこする所とか全体的に手がセクシー。吉良吉影の気持ちが少し理解できる。
そんなトレギアがお前は湊カツミか?ウルトラマンか?と問うシーン。
ウルトラマンとして生きていけば多くの人を救うヒーローになれるなんてこの状態の時に言われればそりゃ乗っちゃうっつーの。
ウルトラマンになるのを選ばなければピグモンたちが蹂躙されるのを見過ごすことになるのもズルい。
さらに自分がいなくてもイサミたちはやっていけてるように映像を見せるのも酷い。
「誰にでもできる仕事なんてやってられるかよ」って言ってる戸井くんに「君にしかできないことだ」って言ったり本当に人の弱い所を突くのが上手い。
トレギアはまだ劇中ではウルトラマンと名乗っていないし呼ばれてもいないですが彼がウルトラマンと公式に呼ばれているのは何か意味がありそうですね。
(ファンの間で半ばネタ的に言われている「ウルトラマンは回転すればどうにかなる」理論を炸裂させたり、「この世で一番強いものは孤独なものの叫びだ!」と弱い者の味方のような主張をしたり「ウルトラマン」っぽさはあるような気がします)
スネークダークネスは正直おまけで付いてきたくらいのもんかと思いきや、なんと戸井くんが変身した怪獣。
見た目もTHE怪獣と言ったような見た目で単純に強いというのも良かったです。トレギアが「この世で一番強いものは孤独なものの叫び」と言うのが強さの説得力になっていて良かったですね。
特殊な親子関係を持っていたリクの口から「決して絆を諦めるな!」と発せられてそこからウルティメイトファイナルそしてウルトラマングルーブの誕生の盛り上がりには鳥肌が立ちました。それで今回の見どころは全部CGで描かれたグルーブの戦闘シーンですよ。
スピード感溢れる空中戦から実写のビルを破壊、スネークダークネスとジードの間を通り抜けるのも良かったですし、何より地上戦をCGで描いたのが印象的でした。
ウルトラマンのCGってウルトラマンネクサスやウルトラサーガのギガント戦など空中で多用されることが多かったのですがスネークダークネスとの地上戦もCGで動いていたので「挑戦」の気概が見えてすごく良かったです。
まだ表情の演技に少し違和感を感じるのはこれからの課題だと思いますが、スーツのシワまで再現されたCGを見せられるとこれからの成長にかなり期待できます。
あとグルーブが逆三角形な体型だったのはやっぱり「CGでやるんだからスーツじゃできない体型にしよう」みたいな試みがあったんじゃないかなと。CGのトレギアの体型は普通でしたし。
「怪獣だって生き物だろうが」「自分は湊カツミかウルトラマンか」などの問いに少しずつ答えを作っていくしかないと答えるのは良かったですね。人間は不完全だしウルトラマンも神ではないので。
最後のトレギアが地球を握り潰すのはこの映画はトレギアが我々に見せていたということだったんでしょうかね。